笠井歯科医院（神奈川県逗子市）

口内炎の原因は不明です。遺伝的要因としては、ヒト白血球抗原（HLA）の亜型との関連が報告されており、また、血中成分の欠乏として、ビタミンB_１２、B_６、B_２、B_１、葉酸、鉄、亜鉛などが挙げられていますが、報告されているデータには多様性があります。また、その他、粘膜の傷が原因となることや喫煙、さらには、様々なウイルス（HSV、VZV、CMV、EBV、HHVなど）が原因となることも報告されていますが関連性は決定的ではありません、疲労やストレスなどの関連も考えられます。以上のことから、口内炎は様々な原因が重なって生じる病気であると考えられています。

口内炎の治療には、一般的にはステロイド軟膏と口腔内を清潔に保つのは有効といわれていますのでポビドンヨードなどの消毒薬が用いられています。また、近年は、レーザーを用いることもあります。レーザーを用いた場合、治りが早く痛みが早めにとることができます。日常生活上の注意としては、バランスのよい食事を規則正しくとることに加えて、睡眠不足や過労を避け、体調を整えることも大切です。尚、近年、歯磨き粉の成分の１つである発泡剤（泡を出す成分）のラウリル硫酸ナトリウムが原因で口内炎が発生するという報告もあるようなので、頻繁に口内炎ができる方は、歯磨き粉を発泡剤なしのものに変えるのも有効かもしれません。余談ですが、テレビＣＭで「口内炎の緩和」を謳っているチョコラＢＢという薬には、ビタミンＢ_６、Ｂ_２が多く含まれています。先に述べたようにビタミンだけが原因でない以上、特効薬ではないのですが、効果がある場合もあります

皮膚に出ることもあるのですが、口の中のみに出ることも多い角化異常のある慢性的な炎症性疾患です。一種の自己免疫疾患とも言われますが、注意しなければいけないのは扁平苔癬は前癌状態と言われ、日本人の場合３％程度が癌化してしまう可能性があることです。金属アレルギー等との関連性も一部では指摘されておりますが、なかなか治癒しないことも多く経過観察が必要な病気です。口の中であれば、歯ぐき、頬、舌などにでき、すじのような白い感じの病変が特徴です。痛みを感じる人もいますが全く自覚症状がない方も多いです。

白板症は、白色の粘膜の病気です。特に痛みなどない方も多いのですが、こちらも前癌病変といって１０％程度癌化する可能性があるので注意が必要です。我が国での発生頻度は２．４％程度と比較的稀な病気です。

あまり知られていないことですが、お口の中にも悪性腫瘍はできます。胃がんなど他のがんに比べると明らかに数が少ないのですが、最近は高齢化の為かお口の中にできる悪性腫瘍も増加傾向です。舌にできるものが圧倒的に多いのですが、歯ぐきや頬にもできます。口の中のがんは歯科口腔外科か頭頚部外科（耳鼻科）のいずれかで対応することになりますが、歯のかみ合わせなどと関係するような場合は歯科口腔外科で対応することが多いかもしれません。悪性腫瘍の治療は、入院が必要であったり、治療も全身麻酔下での手術や化学療法（抗がん剤治療）、放射線治療などを行うことが必要になります。一般歯科医院ではできませんので、悪性腫瘍が疑われる場合には、大きな総合病院や大学病院等を紹介させて頂くこととなります。